黄昏色の詠使いVII 新約の扉、汝ミクヴァの洗礼よ
愚痴
ついに第二シリーズ突入。といっても、本の装丁が変わった以外に何か変化があったのだろうか。特筆すべき点は、明確な味方があらわれたこと、そして彼らが主人公の属する学園以外の学生であったことがあげられるであろう。この物語の論点である、灰色名詠、真言などについての描写は"旧約"にも語られている事を鑑みても、この巻から"新約"と表することには疑問を感じる。
また、"<イ短調>と異端""敗者の王と灰者の王"等、掛詞を多用するのはいいのだが、そういう事をするのであれば、"セラフェノ言語"なる言語体系を設定しそれにラテン式アルファベットを当てはめた事実と整合性を欠くように感じる。セラフェノ言語の存在や人名から鑑みても、この作品世界では日本語が通じないと考える事が妥当であろう。それにもかかわらず、登場人物みずからが日本式の掛詞を用いるというのはいささか疑問である。これを解決するには清涼院流水氏の「カーニバル」シリーズで語られた理論を用い出さざるを得ない。その理論とは、作品世界内では"日本語に極めて似ている異世界言語"が作中で用いられるということなのであるが、この作品でも、今後そのような説明を用いるのであろうか。作者氏は今後、作品世界内の言語の核心部にふれていくようなので大いに期待したい。
名詠色のまとめ
基本五色
- 白色
- 赤色*1
- 緑色
- 青色
- 黄色