葉桜が来た夏 星祭のロンド

ISBN:9784048672214

狂った一族

「馬鹿はどっちだ売国奴め。アポストリどもに血だけではなく魂まで売ったか。」

南方大使に追い詰められた政策課長が吐いた言葉。
彼は知らなかったでしょうが、実際大使のやったことは非難に値しますからね。
妻子をもちながらも、異星人のトップにして軍事を司る<秋>*1の頭領、鶺鴒との間に子をもうける。
妻子が異星人に殺されても両種族の融和のために、生き残った息子、学にすら真実を教えない。
あまつさえ、学を政争のだしにして(共存の)危機をくぐり抜ける。

鶺鴒も鶺鴒だ。共存のためには軍事を司った<秋>の種族よりも<夏>*2の種族がふさわしいという理由で、南方との間にもうけた娘、星祭を政治から排除。代わりに養女にして<夏>の種族、茉莉花を評議長に据える。

その結果何が起こったか。<夏>の支配を快く思わない<秋>が、星祭を傀儡に据えてクーデターを起こしたのだ。戦争終結のための決断が、内部分裂を起こした。まさに悲劇。
そして、星祭逃亡。同胞のアポストリを憎むようになる。悲劇だ。

南方恵吾を中心とした系図

南方恵吾を中心とした系図 人類の女性と結婚。一人の娘と息子をもうける。妻、娘と死別。息子は主人公である学。異星人、鶺鴒との間に娘、星祭をもうける。鶺鴒の養女に茉莉花。茉莉花の姪に葉桜。葉桜と学は政略結婚の関係

南方の姓は悪役を任ずる

クライマックスで南方学は、<秋>の代表者と交渉をした。その姿がまさしく終わりのクロニクルの佐山・御言にそっくり。急に賢くなり過ぎ。

*1:アウトノン

*2:エスターテ