ゲーム小説

クリス・クロス―混沌の魔王ISBN:9784073056621

第1回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞作

記念すべき電撃文庫初の新人賞受賞作
他に同賞でデビューした方は中里融司がいます*1
作者の高畑京一郎氏は遅筆な事で有名。あとがきにもそのネタが出ており、2005年を最後に文庫出版をしていない*2

ドラクエ的と言うよりTRPG的。もっと言えばウィザードリィ

ゲームをモチーフにした作品は多いのですが、この作品はRPGをネタにしています。
それも、『スレイヤーズ』や『フォーチュン・クエスト』のような、ドラゴンクエスト的なお約束を用いたのではなく、ウィザードリィなどのキャラメイクから始まり、ダンジョンを下っていくタイプの作品です。


しかも、オンラインゲームのモニターとして主人公たちはゲームに参加するのです!


これほど、電撃「ゲーム」小説大賞にふさわしい作品はないでしょう。

ちょっとしたトリック

オンラインゲームという設定にすると、「死の恐怖」という冒険もの作品にありがちな緊迫感を出しにくいのが欠点です。しかし、この作品はそれを克服しました。ヒントは原題の『夢か現か幻か』です。
現在は手に入りにくいので*3amazonあたりで探してみてください。

*1:ちなみに大賞受賞者の土門弘幸は紀伊國屋書店の検索によれば2004年以降の作品がない

*2:とはいえ、電撃hpで人生相談コーナーの担当をするなど、執筆辞退はしている様子

*3:絶版ではないと思うが、ライトノベルは往々にして古い作品が本棚に並ばない