スプーン一杯のグロ
甲田学人
『Missing』『断章のグリム』シリーズを書いている方ですが、この両作品はホラーっぽさがにじみ出ています*1。
これが不幸の始まりでした。
『Missing』の挿絵師翠川しん氏はホラー描写が苦手で最終巻では挿絵が一切無いという前代未聞の自体になりました。
『断章のグリム』シリーズの挿絵師三日月かける氏も電撃hpでホラーは苦手と表明しています。
どうにもイラストレータにめぐめまれない作家です*2。
描写の具体例
このシリーズはホラー描写がふんだんに含まれていますので、その実例を示します。
『――――開けて?』
「…………!!」
首を振る。
『――――ねえ、開けて?』
「………っ!!」
泣きながら首を振る。
このように矢鱈、スペースを空けることもあれば(3ページに及ぶこともある)、
『開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて(略)」
のように無駄に単語を連呼することもあります。
近年まれにみるライトノベル的表現描写ではないでしょうか。
断章のグリム
これは超常現象「泡禍」の被害者が、超常現象による災害を解決しようと奔走する作品です。
この災害は何故か「童話」に基づいて進行します。そして、その「童話」と現実の事件との「配役」を一致させることによって、災害が集結する構造となっています。
そのため「童話」の知識が必要となるのです。結果、童話に関する知識を語る場面が出てくる事になります。
この衒学的描写は前作『Missing』の魔術講義にも共通するものがありますが、作品の根幹に関わるようになったので重要度は倍増した事になるでしょう。
このほかにも、色々と魅力がある作品です。
そこで、私なりの『断章のグリム』の売りを挙げてみます。
- 過激なまでのグロ・ホラー描写
- ツンデレヒロイン
- ミステリー要素
- 能力バトル
- 衒学要素
ここまで売れる要素をつぎ込んでいるのですが、グロ描写・鬱展開せいで好みが別れる作品となっているのは残念です。
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』『レジンキャストミルク』が好きな方は是非とも。