あまりにもくだらない犯罪
記憶喪失
時間を操る天使の道具が人間界に散逸してしまった。その失態をおかしたヒロインが天使から人間に天下って、道具を集め直すシリーズの第2弾です。
今回の道具は「指定した時期まで対象の記憶を消す」というもの。これを用いれば犯罪はやりたい放題なのですが、実際のところそういう展開になってしまいました。とはいえ、このエントリーのタイトルにもあるように「(ミステリーとしては)あまりにもくだらない犯罪*1」。ヴァン・ダインの20則にも反してしまいます。
長編小説*2には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。
メインヒロインは空気と化す
ライトノベルの法則に「サブヒロイン台頭の法則」というものがあります*3。
早い話が、『とある魔術の禁書目録』では御坂美琴の人気がメインヒロインの禁書目録より高く、「涼宮ハルヒ」シリーズではハルヒより長門有希の方が人気という事です*4。
結局メインヒロインがサブキャラにくわれてしまうと言うことなのですが、本書ではそういうことが一切無いのに(サブヒロインが登場しないのに)、メインヒロインの安部真里亜があまり前面に出ないという現象が生じました。
これは、メインテーマが高度な知能を必要とする推理なのにも関わらず、メインヒロインの精神年齢が低いことに起因するのでしょう。