てこ入れ

狼と香辛料 6 ISBN:9784840241144

新キャラが登場する事はてこ入れの一種である

アニメの話で恐縮なのですが『みなみけ』では、6話にマコちゃん・8話にほさか・10話に冬馬(cv水樹奈々)と、中だるみを防ぐかのように新キャラを投入しています。やりすぎると『ブギーポップ』『バッカーノ』の様に「あんた誰?」と読者が把握できなくなってしまう虞がありますが、『狼と香辛料』の場合主役+ヒロイン+ゲストという形式が守られてきたので、もう一人くらいレギュラーを増やしても問題は無いのでしょう。
今回新たに増えた登場人物は神学校を追い出された少年。人を疑うことを知らなかった彼は、生き馬の目を抜く商売の世界にふれてどう変わったのか。それが本書のテーマのひとつです。

てこ入れその2

このシリーズの売りとして「商売の要素」というのがあります。そもそも中世風ファンタジーで商売を中心として描かれているものは非常に少なく*1、その物珍しさが一部書評サイトの話題となり、2chで騒がれ、その結果として『このライトノベルがすごい』でWEB投票1位となり、人口に膾炙するようになったと私は考えています。
その重要な要素をばっさりと切り落としたのが本書です。
しかしそれはそれで面白い。
何故か?
人は箸休めを求めるのでしょう。
フルメタ』をはじめとした多くのライトノベルでは長編でシリアスになり・短編でギャグをやるように感じます。
本書はその「短編」に該当するのです。ともかくおすすめです。5巻まで読んで飽きた方にこそ読んでいただきたいです。

*1:オーフェン」は金貸し?に入るのかな?