桜庭一樹概説(否、偏見に基づく感想)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないISBN:9784829162767
少女には向かない職業ISBN:9784488017194
赤朽葉家の伝説ISBN:9784488023935
青年のための読書クラブISBN:9784103049517
私の男ISBN:9784163264301

祝?直木賞受賞

今年度上半期の直木賞に「GOSICK -ゴシック-」シリーズの桜庭一樹氏が受賞しました。
とはいえ私が読んだのは上記5冊とGOSICK第1巻のみです。
何故サブタイトルに「?」マークがついているのかというと、直木賞やら推理作家協会賞やらをとってしまうと滅多にライトノベルを書かなくなってしまうからです。
そこら辺の理由は乙一氏の文庫版『Goth』のあとがきを読んでください。
ご愁傷さま富士見書房

共感できない登場人物

どこかのレビューで『私の男』は登場人物に共感できないといって低評価をつけた方がいらっしゃいました。
仕方がないのかも知れませんが、それは村上春樹に対して「オチてねーよ」とつっこむようなものです。
ある種の極限状態に追い込まれた少女はいかなる行動をとるのかというのが桜庭一樹のハードカバー作品の主軸ではないでしょうか。
例えば『少女には向かない職業』においては、暴力をふるう父を殺す作品ですし、『読書クラブ』は反主流派の少女たちの抵抗、『赤朽葉家』は名家の子女にして元暴走族漫画家の生き様を、『砂糖菓子』は虐待されっぱなしでついには死んでしまう少女の悲劇を描いています。
これらの登場人物に共感できる人はそうそういません。

海・少女・殺人

『読書クラブ』以外の作品はサブタイトルの要素が入っています。
これには何の関連性があるのか非常に気になります。
桜庭氏は港町が好きなのでしょうか?

伝説

『赤朽葉家』『読書クラブ』『私の男』はいずれも年代記風の作品となっています。
正確には時系列で遊んでいるといったほうがいいのでしょうか。
『赤朽葉家』は3代の歴史を、『読書クラブ』は女子校100年の歴史を、『私の男は』とある人物の半生を逆行するという形で。
まさにこれは神話であり伝説ではないかと夢想します。