御影瑛路は此処に散る

神栖麗奈は此処にいるISBN:4840232385
神栖麗奈は此処に散るISBN:4840232679

目次
『神栖麗奈は此処にいる』
一章:斉藤楓
二章:木檜篤志
三章:湧井しずか
四章:豊科和亮
エピローグ


『神栖麗奈は此処に散る』
一章:三井千美
二章:神栖柳爾
三章:河合さくら
四章:神栖麗奈
エピローグ

電撃文庫初のイラスト無し作家

この作家は、この作品を最後としてここ数年刊行していませんが、特筆すべきものとしてエントリーを書きます。
サブタイトルにもあるとおり、この作家は電撃文庫ではじめてイラスト抜きで出版した方です。そのときの作品が『僕らはどこにも開かない』です。この作品は「衝撃の問題作」という煽りをつけて発売されましたが、ごく普通の学園もので当時ネット界隈では「問題作でなかったことが問題作だったのだ!」という禅問答みたいな事がささやかれました。
しかしながら、この作品がきっかけとなり『図書館戦争』シリーズなど電撃のハードカバー路線が始まり、その動きが結果的に富士ミス桜庭一樹直木賞受賞につながったと妄想します。
ちなみにこの手のイラスト無し作品は他に、イラストレータが逃げてしまった『Missing』と『シゴフミ』の作者がやっています。

イラストがないという利点

ライトノベルでは必須といわれているイラストがこの作品にはないのですが、これはただのお遊びではなく必然であることを此処に明記します。
この作品のタイトルにある「神栖麗奈」は「おかしいくらい美しい存在」でありまさに「絵には描けない美しさ」だからです。これは清涼院流水の作品にもいえることで「あえてかかない事によってそのすごさを示す」意地悪く言えば、「具体的にかけないならあきらめよう」ということなのです。 

あなたにとって大切なもの

あらすじを説明します。『〜此処にいる』では、「神栖麗奈」という存在に関わった中高生がどんどん自殺していく現象を断片的に羅列しながら、その現象の正体に迫っていきます。一方『〜此処に散る』では、神栖麗奈と親しい人々を描くことにに徹しています。
どちらの作品でも重要視されているのは「あなたにとって大切なものと何か」ということであります。
この大切なものというのは上遠野浩平をはじめ多くのライトノベル作家が(エンタメ性を重視するライトノベル作家「すら」とも言える)扱っているテーマです。
あなたにとって大切なものは何ですか?