偽物語 上

ISBN:9784062836791
化物語』の後日談。『傷物語』は前日譚故に『化物語』の予備知識を必要としていませんでしたが、こちらの作品は必須です。但し、『傷物語』は未読でも問題ありません。
話の内容は、「主人公の妹がいらんことに首つっこんだせいでその尻ぬぐいをするために東奔西走する。」ということに要約されます。とはいえ、前半は主人公が道をぶらぶらしていると、前作のキャラクターが入れ替わり立ち替わり主人公にからんできて漫才を繰り広げていくだけで、一向に話が進みません。しかしながら、これこそが『化物語』シリーズの醍醐味なのです。例えばこのようなシーンがあります。

「そうなんだ。病院のベッドで目を覚まして、お前はすぐに言ったものだよ」
「『ここはどこ、わたしは誰?』と?」」
「いや、『高校はどこ、わたくしりつ?』と」
P.63

どうしようもない駄洒落なのですが、これが驚くべき勢いで展開されていきます。どうしようもない駄洒落であっても、連発されるとどこかで笑い、そのままツボにはまっていくという心理を巧みに利用した作品ではないでしょうか。
さて、この作品は西尾維新の構成要素である「バトルと言葉遊び」の「言葉遊び」の要素が非常に強い作品です。
西尾維新未読者の方は『クビシメロマンチスト』→『化物語』→『偽物語』とステップを踏んでいけば良いかと思います。この順番で読んでいけば、合わなかった場合でも傷口が浅いうちに他の作品を回避できます。

過去のエントリ

化物語
傷物語