狼と香辛料IX 対立の町<下>

ISBN:9784048672108
上巻のクライマックスでヤバい取引を軟禁状態のエーブに持ちかけられた主人公。ここで安請け合いしないのがこの作品の特徴です。主人公はここで考えを巡らし、結果的に短絡的な行動に出ようとします。
そこでお約束のように賢狼ホロが主人公に第3の道を示します。その選択肢も考慮して主人公は最終的な判断を下したわけです。このパターンはもう板についていますね。

さて、この巻のテーマは「組織に守られている人間が、その組織に無理難題を突きつけられたらどうするか」ということに尽きます。主人公は終始それに翻弄され続け、最後の最後で命拾いしましたが、その命拾いのきっかけは他者にあったことが印象的でした。その人がそう動いていなければ主人公は助からなかった。なんと厳しいことでしょう!