匣の中

ISBN:9784062753890

一応アンチミステリなのだけど…

匣の中の失楽』へのオマージュというだけはあった。しっかりと「ミステリからアンチミステリへの流れ」としての「アンチミステリ」をやっていた。
しかし、コレ予備知識を必要としすぎる感も。オマージュだから『匣の中の失楽』の知識が合ったほうがいいのはいうまでもない。しかし『匣の中の失楽』を読む前提として『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』が必要となる。そして『虚無への供物』はミステリに慣れ親しんでないと何がすごいのかわかりにくい。
詰まるところ、『匣の中』はそこに至るまでが大変なのである。そして、その名作を読んだあとに良作を読まされても不満しか出ないのも事実。
コレが『ジョーカー』のようなMMRばりの結論を出す作品だったら別の評価を下せたのですが、ごく普通のアンチミステリであるこの作品を読んだところで…
とにかく不満だけしか残りませんでした。