キノの旅11巻考察

キノの旅 11―the Beautiful World ISBN:9784840240253
キノの旅の魅力はふざけたあとがきと、一寸頭をひねればわかる寓話なので今回は2つの章に絞って簡単な私の考えを書きます。

今回のあとがき

今回は、本文と裏表紙の2箇所にあとがきがあります。

「つながっている国」

なぁ名無しよ、お前がこのスレを見つけてくれていればいいんだが、
そろそろ貴様に言わなければならないことがあるんだ。
俺も今日まで言うべきかどうか悩んだ。
言わなければお前も俺も普通の生活を続けていくことができる。今までどおりにな。
だが、やっぱりそれじゃだめなんだ。偽りのなかで生きていてはだめなんだ。
それに、もう時間がないんだ。
今、俺はお前に真実を告げる。

2ちゃんねる

見ているのは

ひろゆき

俺と

お前だけだ。

驚いたか?当然だよな。だがそれが真実だ。
辛かったぜ。お前が2ちゃんを見つけるずっと前から、俺は何十台ものPCに囲まれ毎日2ちゃんを保ってきた。
あの厨房も、あのコテハンも、すべて俺だったんだ。
お前が初めて2ちゃんを見たとき、俺は人生であれほど嬉しかったことはなかったぜ。
時には心苦しいながらもお前を叩いたりもした。許してくれ。
と、今話せるのはここまでだ。もうすぐすべてを知るときが来る。
そのときまでに、心の準備をしておいてくれ。じゃあな。

「このコピペが真実であったとしても、それを信じないであろう」これがテーマです。

「アジン(略)の国」

一見すればただの「寿限無寿限無後光のすり切れ(ry」ネタですが、その寿限無の部分を読み飛ばすと話の本質が見えなくなるという作品です。

  1. ミライ・ツーという男の故郷では資源不足のため大幅な「間引き」が行われた
  2. 彼はその「間引き」からうまく逃れたが、家族は皆殺しにされた
  3. 「そのような犠牲のうえに生きていることを故郷の住人は忘れている」と考え、彼は復讐しにいく
  4. 翌日、故郷の人口が一人増え、国名が変わった

という点と、寿限無みたいな国名に「ミライ・ツー」という文字列が記載されていることから、

実は、故郷の人間は彼らの犠牲を忘れているどころか、犠牲者を国名に刻んでいたということになります。