『スレイヤーズ』の人の新作

ドアーズ 1 ISBN:9784044146184

おもちゃ箱をひっくり返したような世界観

目が覚めると妹がリスになっていた。部屋の中はドアだらけ。皆はそれを「普通」として受け入れている。変だと気がついているのは姉(主人公)だけ。


これだけならばただのシュールレアリスム小説ですが、こともあろうに主人公は扉の向うから来た人と一緒におかしくなった世界を直しに行きます。


何でも、全ての平行世界で似たような現象が起こっている。各世界の概念が混ざり合って混沌とした事態が生じているとのこと。だからひとつひとつの世界を直していくほかない。


結果的に、武士の世界やら魔王の世界やら妹の世界に行く羽目になります。この設定のおかげで、色々な世界を舞台にする作品になりました。*1

パロディ

この作品にはありがちなテンプレ進行をわざともじった設定などがあります。

「(前略)行き過ぎた妹文明は、妹の急速な発達を促した。
しかし高度に発達しすぎた妹は、いつしか自我を持ち、人類に牙を剥いた。(中略)
妹の支配する新世界の樹立。
それを提唱した妹キング、リアのもと、世界各地の妹たちは結集し、人類に反旗をひるがえした。
妹に依存しきっていた上、不意を突かれた人類はひとたまりもなかった。
こうして我々もレジスタンス活動をしてはいるが、劣勢を強いられているというのが正直な所だ」

上の文章の「妹」を「ロボット」に置き換えるとごくありふれたSFになります。

*1:色々な世界を飛び歩くタイプの作品は『アリスSOS』『サガ・フロンティア』等が挙げられます。