銀色ふわり

ISBN:9784048671309
一種のサナトリウム文学。「過去に似たような事例があってバッドエンドで終わった。その事実を主人公が知って」、という展開はまさに『半月』的なサナトリウム要素ではないでしょうか。
只、悲劇の根幹が現実世界で言う病気ではなくて、ある種のSF的要素であるというのが大きなポイントです。その要素のおかげで主人公は物語の要素の中で代替が聞かない存在となっています。それは愛だのなんだのといった精神的要素ではなくて、もっと物理的な「かけがえのなさ」になっています。ここまでシビアにしたのはすごいと感じました。
作者の有沢氏は盛岡が大好きなようで、今回の舞台も盛岡でないかと夢想します。